「親父から学んだモノ」それは物作りの哲学だ。親父は人生を物作りに捧げた。「では物作りとは何か?」それは「人を喜ばせたり、びっくりさせて、人を笑顔にさせること」がモノ作りの根底にあるのだと思う。親父の背中を通してそう感じる。
70歳を過ぎて始めた農作業だった。最初は「趣味だわ〜」と言っていたが良い物を作ると皆んなが笑顔になった。そして親父のお人好しぷりが炸裂し始めた。趣味がいつの間にか、、、趣味の域を超えるのだ。
私も親父も何かに集中すると徹底的に没頭してしまう癖がある。小学生が時間を忘れてゲームをするように集中する。飲み食いも睡眠もお構いなしだ。(多分これが体を壊す原因だが、自分が好きなことや得意なことに集中するとパワーが持続するのだ。人間が本気になった時の集中力は凄まじいと思う。)
葬儀が終わり親父が育てた「ブロッコリー」を出荷した。そこで何件かの農家さんに笑顔で「茎が太い、上手に作ってるね」とお褒めいただいた。私は素直に嬉しかった。でも親父なら「まだまだ、もっと良いものが作れるよ」と隣で言っている気がした。良い物を作ることは人を笑顔にすることだと思う。
農作物もゴルフスイングも良いものを作っていく工程は似ていると思う。一つ一つに違いがある「生きているモノ」育てあげるのだ。地道な作業で根気がいるものだ。
数日たった愛知県のスーパーで香川県産のブロッコリーを発見した。「手間暇がかかっていて上手に作っている」ことがパッと見で分かる。ただ親父が作ったモノとも違うことがすぐに分かった。ゴルフクラブ以外で目利きになったのは「お野菜」が初めてだ。
手間暇かけて育て上げたものは「その物自体に一本の芯が通っている」ように見える。ゴルフスイングも同じである。